「やりがいを感じていたい」医療、物販を経て不動産事業で起業。レンタルオフィスでも組織ではできない案件に対応できる【Keteo株式会社】

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不動産会社と聞くと、駅チカだったりビルのワンフロアだったり、事務所を借りて営業を行っているイメージがいまだ根強く残っているのではないだろうか。

本記事では、レンタルオフィスで様々な不動産案件を取り扱い事業を営んでいるKeteo株式会社・齋藤社長に様々な質問をぶつけ、起業するまでの経緯、理念や想い、不動産事業をレンタルオフィスでやる理由などについて探った。

将来に不安を感じ、医療業界から不動産業界へ

━━ 齋藤社長は不動産事業一筋という経験を活かして起業されたのでしょうか?

齋藤社長:
私が社会人になって初めて就いた職種は、医療業界でした。

千葉県の野田市にある大きな病院で事務をやっていたのですが、給料が安く将来性がなかったので3~4年くらい勤めた段階で医療業界自体をやめようと考えました。

とりあえず資格があればどこかに入れるんじゃないかという感覚で、ユーキャンの通信講座で勉強して宅建(宅地建物取引士)を取得したんです。

ちょうどその頃、不動産業界は未経験でも宅建さえ持っていれば受け入れてくれるような時代で、すぐにとある不動産会社に就職することができました。

そこで主に仕入れと販売を担当させてもらい働いていたのですが、しばらくしてリーマンショックが起こって……そのタイミングで不動産業界からは一旦離れることを余儀なくされました。

中国向けに日本を紹介する会社に転職するも…

━━ その時点ではやめるという選択肢しかなかったのでしょうか?

齋藤社長:
リーマンショックの影響で、不動産業界全体が収縮する時代に突入してしまったんです。それで他に行くところがなくなってしまった。

どうしようかなと悩んでいたところ、ちょうど知り合いから連絡が来て、中国向けに日本の商品などを販売している会社を紹介してもらって転職することができました。

そこではイベントをやったり伝統工芸品を紹介したり、爆買という言葉がでる前の時代だったのですが、やりがいがあって楽しかったですね。

しかし5~6年くらい経った頃、会社の事業が方針転換することになりました。それまでは商品数が少ない中でもネットショップのモール等に自分たちで出品していたんですが、競合に規模で勝てなくなって代行業務に変わっていったんです。

具体的には商品を紹介する側から代行で買って輸出するような事業に変わってしまい、ひたすら発送するだけの業務になって。それでやりがいを感じられなくなったのでやめることにしました。

そのタイミングで改めて「自分が一番稼ぎやすい仕事は何だろう」と考えて……悩んだ結果、収入面を優先しようと。数年ぶりに不動産業界に戻ることを決めました。

不動産業界への復帰、パートナーとの出会いと起業

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━━ 齋藤社長は仕事をする上でやりがいを重視されてきた印象があります。不動産業界に戻る際にも新しいやりがいを求めていたのでしょうか?

齋藤社長:
そうですね。不動産業界に戻るにしてもただの不動産会社では面白みがないので、別の事業もやっているところを探したんです。たまたま不動産と人材紹介をやりはじめていた会社を見つけ、そこに転職しました。

その会社には専門の不動産事業部がなかったので新規で立ち上げることになったのですが、会社自体が不動産を軽視していたため、たったの半年くらいで事業が立ち行かなくなってしまったんです。

当時そこで不動産事業部を一緒にやっていたのが、現在弊社で共同代表を務めている寺島です。長らく業界にいて、不動産についてよく知っている人間でした。

寺島とは色々な話をしましたね。結局、会社の状況がよくなかったのでやめて一緒に起業しようという話に落ち着いて。半年くらいの準備期間を経て「Keteo株式会社」を立ち上げました。

前職のツテや経験を活かした物販事業の立ち上げを検討したりもしましたが、収入のことを考え最終的に不動産事業を選びました。

不動産に関わることなら何でもやる

━━ Keteo株式会社では主にどのようなお仕事をされているのでしょうか?

齋藤社長:
いわゆる仲介業です。売買、賃貸、あとは不動産に関わることならなんでもやりますし相談にも乗ります。あとは任意売却をやったりもしています。

中古物件をリフォーム・リノベーションしての再販事業も手掛け始めています。
今後力を入れていきたい分野ですね。

Keteo株式会社の理念、こだわり

━━ Keteo株式会社の理念やこだわりについて教えてください。

齋藤社長:
創業者ふたりに共通した理念として「やりたいことをやっていこう」というのが第一にあります。

起業家は基本的に自由ですが、常に言い訳ができない立ち位置にいるということでもあります。頑張ったからといって必ず結果が出るわけでもありません。何かあっても全て自己責任という世界で生きているわけです。

そんな中だからこそ、私たちはやりがいを感じていたい。自分たちの責任の中でやれることや、やりたいことを触っていこうというのが私たちの想いです。

利益よりも面白さ、人情を優先することも

━━ 競合他社と差別化するために取り組んでいることはありますか?

齋藤社長:
本心では王道でいきたい。けれどライバルが多いので(笑)。

隙間産業というわけではありませんが、個人の方の相談や、相続や途中で亡くなった方の案件を手掛けたり……古い建物で誰も買い手がつかないような案件でお客さんを探してきたり提案したり、サラリーマンであったなら触らないような案件にも取り組んでいます。

プロ同士の案件に触ることも勿論ありますが、組織ではできないような難しい案件にも対応できるのが私たちの強みですね。

利益がどうとか関係なく、面白みだったり、人情だったりを優先することもあります。
あとは今後何かの可能性につながるんじゃないか、とか。

特に私は甘いところがあって、相談を受けたらできる限りはやってあげようというスタンスでいます。これも組織で利益を追求していたらできない隙間のひとつですね。

会社を経営していてよかったこと

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━━ 会社を経営していてよかったこと、辛かったことを教えてください。

齋藤社長:
良かったことは、長く付き合いがある人たち……お金になるかならないかといった中で共にやってきた人たちとお互いの利益をわけあえるような仕事ができるようになったこと、それが続いていることです。

辛さはあまり感じないタイプですが、明らかにお金にならない商品価値のない相談を受けた時、それをハッキリと伝えてとどめを刺すような形になってしまうのはしんどいですね。当人もなんとなくわかっているだろうから、尚更です。

例えばとある物件を100万で売りたいと言われた時、それがタダでも要らないような、「お客さんがきたらラッキーじゃないですか」と言うしかないような状態だったりすることもあるんです。

そういう案件は活動費や広告費を出してもらえるわけでもないし、最低限の種まきであるポータルサイトに掲載してあげることくらいしかできません。問い合わせがきたら勿論対応しますが、ほぼ期待できないので……なんとかしてあげたいけれど出来ないというのもまたしんどいですね。

なぜMETSオフィスを選んだのか

━━ 不動産事業を営む拠点にMETSオフィスを選んだ理由を教えてください。

齋藤社長:
一番の理由は、以前働いていた不動産会社で取引があったためオリンピア興業さんと縁があったことです。会社設立時は先が見えない面もあったので、決まった金額を払えば今日にでも始められるような環境を望んでいました。

精巧なつくりも含めて、機材があったり、家具などを購入する必要もない。コスト面だけでなく手間もかからないというメリットは本当に大きかった。設備にも満足しています。初めて来訪されるお客様からは、明るくて綺麗ですねとか、こんな良いところでやってるんですね、といった言葉をかけてもらえることもあります。

弊社の規模感だと一般的なワンフロアを借りるような事務所は不要です。ワンルームという選択もありましたが、共有部分が無くトイレ掃除なども自己負担なのがNGでした。清掃費もコストですし、土足対応や什器購入など色々と考えるほどサービスオフィス以外の選択肢は無くなっていきました。

一応、他のレンタルオフィスも比較対象として調べて見てみましたがオフィスビルや内装が古い点が気になってやめました。既にここで考えてしまっていたのもあるけれど、新宿でと考えると他に良いと思えるところはありませんでしたね。

METSオフィスを利用して良かったこと

━━ METSオフィスを利用して良かったことは何でしょうか?

齋藤社長:
価格、サービスにはとても満足しています。特に融通が効くところが良いですね。

ここ新宿御苑は、3階のオフィスには受付がないけれど上にはオーナーがいる。行けば即対応してもらえるので不便だと感じたことはありません。鍵を中に忘れたままオートロックで閉まってしまうなどの事案が起こっても安心です。

あとは、ここに入居しているからオリンピア興業さんと取引しやすいというメリットもあります。ちょっとした話から仕事になったりするのはありがたいことで、そういったところにも魅力を感じていますね。

今はネットを利用して会わずに連絡を取ることが容易な時代ですが、私は直接会うことを大事にしています。雑談やどうでもいい話から仕事が生まれたり繋がりができたりといったことがありますし、会わないと出てこない会話やネタというのは絶対にありますから。

METSオフィスのサービスで改善してほしいこと

━━ 逆に、METSオフィスのサービスで改善してほしいことは何でしょうか?

齋藤社長:
一部だけケータイの電波が非常に弱いところがあることです。私が借りているこちら側だけなようですが(※新宿御苑3階のオフィススペース側)なんとかしてほしいなと。

あとは、METSオフィスの会員同士の繋がりを感じられるものが少なすぎることでしょうか。例えばビジネスラウンジのスペースは色々な方が利用されていますが、正直誰が誰なのかさっぱりわからない。METSオフィスの他の会員が何をやっているのか、何をすることによってお金を稼いでいるのかを知りたい。そういったものが見られるような仕組みが欲しいですね。

そこからでも仕事になる可能性があるんだったら、繋がりみたいなものを作ることができるならラッキーだなと。何かを頼みたいと思った時に、同じオフィスサービスを使っている人たちには気持ち的に話を持っていきやすいかなと思います。

今後のビジョン・課題

━━ Keteo株式会社の今後のビジョンや課題を教えてください。

齋藤社長:
現状ではどうしても同じ業界の付き合いばかりになってしまっているので、もっと仕事の面でも知識の面でも交流関係を広げていく必要があります。お金を生む資産を持っているわけではないので、それができなければ今後生き残っていけないのではないかと。

医療業界は今でも付き合いがあって、交流会のような飲み会はやっています。そこではまだ仕事にはなっていないけど、相談が来たりはしていますね。うまくやっているのは保険屋で、商売にも繋がっているようです。そういったものを自分でも作っていきたいです。

ただ、商業目的が強すぎると変な人が集まってきたりするだろうし、そんなことばかりを考えてやっていくのはしんどいですよね。人脈をお金に変えることだけが目的になるのは本意ではありません。

METSを利用している他のみなさんが何をやっているのか気になります。繋がりを作って何かしらプラスになれば嬉しいし、何か振れる仕事があればお願いもしたいですね。

「もっと早くやってみたほうがよかったな」

━━ 最後に、これから起業する方に向けてメッセージをお願いします。

齋藤社長:
私が起業しようと考え始めたのは37、8くらいの時でした。もともと起業するつもりがあったわけでもなく、野心があったわけでもありません。サラリーマン時代はとりあえず会社に行っておけば金になっていたし、そっちのほうが自分に合っている。そう思っていました。

いざ起業してみたら、責任は全部自分に戻ってくるけどそれって原始的でいいなって。もっと早くやってみたほうがよかったなと。

サラリーマンをやりながらでも、今の世の中なら大抵のことは気軽にチャレンジできます。起業のハードルは下がっているし、やりたいことがあるならとりあえずやってみればいいと思います。

今の日本はみんな一所懸命働いているんだけど、どこを向いているのかわからないと感じることがあります。

つい先日(※2019年10月上旬)、大型の台風で電車が止まった時に会社に行くかどうかみたいな話題がネット上で盛り上がっていました。会社のためにはどっちがいいか、その考え方自体くだらないですよね。

天災で電車が遅れるのは仕方がないことなのに、物理的に行けない人がいてそれを責めるような社会は異常です。仮に前泊やタクシー利用などで対応したとして、払ったお金は全ての会社が出してくれるのでしょうか。最近は些細なことでもすぐに話題になってみんながそれに噛み付いていたりして、余裕がなくなってるなって感じることが増えてきていますよね。

何があっても自己責任として受け入れる覚悟は必要になりますが、起業すればそういったストレスから開放されるというだけでも相当なメリットがありますよ。

私はリーマンショックで働いている会社がなくなった経験があります。給料は遅れるし、最終的に自分が何をしようがどうしようもないような状況に陥りました。真面目に働いていてもいきなり会社がなくなることがあるわけですから、雇われでずっとやっていこうとするのもかなりのリスクをはらんでいると思います。

業種だったり役職持ちという条件によってはさほど気にせずに生きていける方々もいらっしゃるでしょう。ただ、平という立場なら、終身雇用が崩壊しつつある今いつまで持つのかは誰にもわかりません。そういった状況の中で何も考えずただ雇われで働き続けるのは全く安泰ではないはずです。

人生もビジネスも、タイミングや縁がとても重要だと思います。毎朝満員電車に乗りたくないという動機でもいいじゃないですか。やりたいことがあるならぜひ挑戦してみてください。

━━ 本日は貴重なお時間を頂き有難うございました。

編集後記

元リクルートの藤原和博さんという方が、とある講演で「自身の価値をレアカード化しよう」という話をしたことがあった。

何らかの業種で100人にひとりの能力を身につけ、また別の業種で同じことをする。そうやって時間をかけて複数の業種で100人にひとりの存在になれれば、掛け算で1/10000以上に相当する価値を持つことができ、その価値はお金や信用などにいくらでも変えることができるといった内容だ。

齋藤社長はリーマンショックで働いていた会社がなくなり、転職先で二度も事業の方針転換を味わい、働く上で重視している「やりがい」を何度も失ってきた。だがその結果、3つの業種で得た経験をビジネスに活かすことができるレアカードになった。

もともとは将来に不安を感じ転職をしたという、普遍的なエピソードから始まったものだ。これから何かに挑戦したいという全ての人が、きっと同じような可能性を持っている。

不動産事業の仲介というのは、ものにもよるが基本的には手数料などの報酬がある程度の範囲内で決まっていたりする。であるならば、お金よりも繋がりや人情を優先してしまうことがあるという甘いけれど温かい経営者に仕事を頼んでみたら、利益を優先する企業なんかよりもずっとお得で面白い結果が期待できるかもしれないと思った。

最後までお読みいただき有難うございました。
インタビュアー:TK(METSオフィス会員)