「マーケットの善意を信じて、社会貢献する」METSオフィス事業の成り立ちと、基幹となる社長の経営哲学・思想とは

METSオフィス運営会社・オリンピア興業株式会社葉山社長7

オリンピア興業株式会社代表・葉山社長は、社会資産である不動産を活用し、社会貢献に繋げる事業を数十年に渡って営んできた。

そんな中、旧来のマーケットばかり見ていることに危機感を感じ、現状の安定に甘んじることなく変化を取り入れ、未来に備えMETSオフィス事業を始めるという決断をする。

本記事では葉山社長の人物像や思想に焦点を当て、経営哲学や理念のバックボーン、METSオフィスの成り立ちや未来への展望などについて探った。

■社長インタビュー記事(バーチャルオフィスサイト掲載)
⇒ 「一緒に社会貢献がしたい」社長が語るMETSオフィスの理念、運営について、今後のビジョン&起業家へのメッセージ

24歳の若さで社長へ。都心の土地で億超えの借金を抱える

━━ 社長の就任当時のお話や、事業を営んできた中で印象に残っているエピソードなどを聞かせてください。

葉山社長:
私がこの会社の代表となり不動産業を始めたのは、24歳の時でした。もともと父の会社だったのですが、紆余曲折あって交代することになったのがきっかけです。

当時、若かった自分は未来に対して恐怖もなかったし、自分の食い扶持はいつでも稼げるという思いがあったから、親父のところで一緒にやっていくなんて全く考えていませんでした。

数年間はわけもわからず手探りで経営していく毎日。そんな中、転機となった案件がありました。

オイルショック(※1973年)の前に埼玉で買った土地が使い道がなくて処分できず……とりあえずそこで中古車の販売をやって、1台につき15~20万円程度のマージンを取るといった形で一応商売としては成り立ってはいたのですが、当時は並べておくだけで勝手に売れていただけで、不動産業としてその土地を活かしていたとは言えない状態でした。

そんな中、お客様が来ない時なんかにふと、「土地っていったい何なんだろう?」「ただの面積に値段がつくのは何でだろう」と考えるようになったんです。

当時、自分なりにつけた理屈は「土地はその前を通る人間の数が重要で、それに比例して値段がつく」でした。

埼玉の田舎の店を前を通る人は1日に20~30人程度なのに、新宿の一等地なら数百万人が通る。値段だけで比較したら田舎の土地のほうが安いけれど、総合的に見たら都心の土地のほうが安いんじゃないか?と考えるようになりました。

その後、件の土地をなんとか処分したりと紆余曲折あってから初めて都心の土地を買い始めたのですが、当時は「これで俺の人生はもうおしまいだな」と思ったものです。

土地を買うために借りた1億とか2億の借金を、毎月何十万円ずつ返していって……一体何年かかるんだよ、返し終わるころには俺爺になってるんじゃないか、と(笑)。

ところが、やってみたら2年くらいで目処がついてきて「これもう1個くらいいけるな……」という手応えが出てきた。収入が入ってくるようになり、最初の不安が取れたのが大きかったですね。土地の評価が上がったこともあって、借金が一気に減ったわけではなかったのですが安心して見ていられる状態になっていきました。

その後、その土地を担保に入れてもうひとつ買って……
もうこれでさすがに人生おしまいになっただろうと思いました(笑)。

この2つの土地の借金を返していくだけの人生になるかと思っていたのですが、しばらくしたらまた安心して見ていられる状況になって。そうこうしてるうちに所有している土地の値段がやたら高くなってきて、バブルの初めの頃には倍々になっていきました。

「土地とは何なのか」と自問自答し変化を求めたことは、私の経営者としての経歴の中でも特に大きなターニングポイントとなりましたね。

マーケットの善意を信じて、社会貢献をする

━━ 社長の経営哲学や根底にある思想について詳しく教えてください。

葉山社長:
私が若かった頃、高校の頃は文化革命があって、大学では学生闘争がありました。団塊の世代の一番最後の方は、ある意味で戦後の民主教育の純粋な部分を教わってきた。世の中の公平・不公平、色々な思想が魅力的に映る時代でもあったと思います。

資本主義や社会主義、共産主義とは何だろうと考える機会が必然的に多くなるような時代に生きてきた、とも言えるでしょう。

企業の代表として、社会人として生きていく中で「お金ってなんだろう、働くとはどういうことなんだろう」といったようなことも考える機会が非常に多かったです。

現実として見た場合、現代においてはどの主義を採用している国家が効率良く生きやすいのか。最も多くの人が幸せになり豊かになっているのは、資本主義国家だと思います。

ただし経済という大きなくくりの中では、誰がお金を儲けようが損しようが……ビル・ゲイツ氏が何兆円の財産を築こうが、年収200万以下の人がいようが、それは「お金にとってはどうでもいいこと」であるわけで、経済において重要なのは、主義に関係なく、つまるところ「生産と分配」です。

効率よくものを作り、公平に分配する、ということです。

公平という概念は諸説あり、その方法論は主義によって異なりますが、最大の生産を目指し最大の分配を目指すのが経済です。

社会主義や共産主義というのは、競争しあって片方が潰れてしまうと無駄が生じるから、それだったら一緒にやって相乗効果で生産して公平に分配したほうがよりみんなが豊かになって幸せになるだろうという理想論です。人間の理性と善意を信じて、計画的に生産・分配をする。まさにこれがヒューマニズムだと、本来人間があるべき姿だと、こういう考えが理屈としてあります。現実は理屈通りにはいかないようですが。

最大の生産、そして公平に分配することで平均として全体の幸福量は多くなるだろうという考え方の上では、世界的には資本主義が抜きん出て成功していると言えるでしょう。

資本主義には多くの不幸が内在していますし、それに対して色々なサポートが必要で、足りていないものばかりです。それでも、私たちはこの社会で生きて行けなければなりません。

資本主義社会で生きる上で、ひとつ信じなければならない仮説があります。
それは「マーケットの善意を信じる」というものです。

資本主義というのは、競争による差が生じます。
人間の理性を信じていない側面があり、悪の部分を持っているとも言える。

だけどその分を何が埋めているかというと、マーケットがやっているわけです。

ものには値段がついて、差がつく。差がつくから、高いところから安いところに運んで、そのさやを利益にする。これが資本主義の原理です。

資本主義のマーケットの良し悪しは別にして、そこで生きていくためには、少なくとも最終的には生産と分配が公平に機能していくんだということを、仮定としてでも信じざるを得ないのです。

社会資産の有効利用、活用。
資本、人、知識、これを有効に活用する。それで対価をもらう。
これが、資本主義社会で生きるということです。

弊社のMETSオフィス事業で例を挙げると、ここのビル(※新宿本社ビル)。このあたりはもともと数件のアパートが並んでいた土地でしたが、一帯の土地を購入し、整え、ビルを建てた。

アパートがあった当時、ここで生活していた約20名分の生産性は年間で一千万円程度でした。今ではこのビルに関わる人たちはその家族も含めれば何百、何千となり、ここを通る売上は数億を超える規模にまで成長しました。

資本主義社会における弊社の使命は、皆様に働く場所、生産性を上げる場所を提供すること。そして、その場所に関わる皆様と一緒に社会貢献をしていくこと。

こうした考えは、不動産事業だけでなくMETSオフィス事業にも通じるものがあります。

METSオフィス事業の理念は「マーケットの善意を信じて、社会貢献をする」であり、関わる会員様と共に社会貢献をしていきたいという想いが込められています。

METSオフィス事業を始めた理由

METSオフィス運営会社・オリンピア興業株式会社葉山社長6

━━ 50年以上の社歴を持つ御社がMETSオフィス事業を立ち上げたのは2012年、近年の出来事でした。当時既にリージャスやサーブコープといった大手企業が参入していましたが、なぜこの時期に新規事業としてオフィスサービスを始めようとお考えになったのでしょうか?

葉山社長:
中小ビルを複数所有している弊社のような企業にとって伝統的に一番いいお客様は、業歴がある程度長い安定した企業です。15~20年、大企業じゃなけれども街でそれなりに信頼されてしっかりやってきて、都心ビルの1フロアをまるごと借りられるような規模の中小企業が例として挙げられますが、このような企業は減少傾向にあります。

一方、インキュベートだとかベンチャーだとかで若い人たちで何かやりたい、仕事したいみたいな流れは着実に起こっていて、「不動産業界における旧来のマーケットばっかりみていたら先細りになっちゃうんじゃないの?」と感じたのが一番のきっかけで、弊社ならではの強みを生かした新しいビジネスを立ち上げようと考えました。

それともうひとつ、これは当たり前の話ですが、会社というのは取引先が多ければ多いほど安定します。当時弊社は会社規模の割には取引先が少なかった。未来のことを考えた時、METSという事業を通じて付き合いのある会社を増やしたかったという思いもありました。

また、昨今ではいわゆる中小企業はグローバリゼーションの中で淘汰されて、退出させられるケースが増えてきています。例えば銀行から「会社売りませんか?」って話が来て、いい会社は廃業じゃなけれども、どこかと一緒にさせて、ふたつあったものがひとつになったり。あるいは潰れて廃業してしまったり、そんな中で企業数は減っています。

こういった流れの中で先細りになってしまうのは避けたかった。今が良ければそのままでいいという考えではいたくなかったということです。

METSオフィスのサービスには満足していない

━━ METSオフィスの会員様は、データを解析するとその大多数が検索した上で比較・検討後に申込をしてきていると伺っています。一般ユーザーの視点ではなく社長から見たMETSのメリットにはどのようなものが挙げられますか?

葉山社長:
お客様が各々感じたメリットにより選んでいただけている、という事実は大変光栄でありがたいことです。自社所有物件による運営やコスパの良いプランなど、その理由については把握していますが、現状では私が実現したいことである「目の高さ」と実際に提供されているサービス「手の動き」には差があります。

まだ構想段階ですが、今後はMETSの会員様同士がマッチングしたり繋がりを作っていけるような仕組みを作っていきたい。会員様のネットワークを利用した様々なサービスも立ち上げたい。コストや人材の問題があるので実現できるかどうかは別ですがアイディアは沢山あります。

働き方がより多様化していく中、求められるサービスを提供していけるかどうか、会員様同士の繋がりを作っていけるかどうか。現状に満足せずに追求していきたいと考えています。

喜びと意味を与えられなければ社会で生きる資格はない

━━ METSオフィス事業について、社長は「これで利益を上げろとは言っていない(※別記事参照)」とおっしゃっていました。赤字でもいいという意味ではないのは理解できますが、利益以外で重視しているのはどのようなポイントなのでしょうか?

葉山社長:
グローバリゼーションという言葉が定着してからそれなりの年月が経ちましたが、少なくとも日本では放っておいても人口が増えて活発な経済活動によりひとりあたりの配分が大きくなっていた時代はとうの昔に終わっている。今後人口が減る中で、ひとりひとりの豊かさや幸せはどうなっていくのか……見通しは決して明るいとは言えません。

弊社の不動産事業のことだけを考えても、これまでのように生産性が上がるよう土地を用意し建物をたてて仕上げ、あとは家賃さえ払ってくれれば自由にしていただいて結構です……では済まないだろうと。

日本の文化や伝統、歴史の中で刻み込まれた過去の蓄積があるとはいえ、働き方改革だとかで効率だけを目指す働き方を模索しても人は幸せになれないのではないか、と思っています。

なぜ会社に利益があるかといえば、社会に対する価値の創造があって配分を受けているからです。

アメリカのグローバリゼーションのように「効率がよければ金が儲かる、それでおしまい、あとは個人の問題だ」というのは味気ない。確かに会社というものは利益がないと生きていけません。が、利益だけでは社会で生きる資格はないと考えています。

たとえ資本主義社会の歯車であったとしても、喜びと意味を与えなければいけない。METSオフィスもそんな事業でありたいし、そうでなければならないと思っています。

能力差は認めない、失敗は恐れる必要ない

━━ 数十年に渡る長期間の会社運営歴を持つ社長ならではの、社内スタッフを教育する際にこだわっているポイントについて教えてください。

葉山社長:
私が常々社内で言っているのは「能力差は認めない。できないのではなくやっていないだけ。失敗は恐れる必要ない」ということです。

能力差を認めないというのは、習慣、くせ、個性が大事であるということ。やるかやらないか、勉強するかしないか。そのような行動を身につけられるかどうかが重要です。

習慣付けるための努力は簡単ではありません。能力差がないからこそ、そこが分かれ道になってしまうのだと思います。

ただ、難しいことは言っていません。頭のいい人間が10分でできることを20分かけてできるようになればいい。

やろうとする、できるようになるための努力ができるかどうか。これは仕事だけでなく、普段の生活にも通じるとても大事なことだと思います。

一緒に力をあわせて未来を掴み取りにいく、そんな付き合いがしたい

METSオフィス運営会社・オリンピア興業株式会社葉山社長5

━━ 最後に、METSオフィスの会員様と、今後会員になる予定のお客様へメッセージをお願いします

葉山社長:
私が子供のころ、21世紀というのは夢の時代でした。

鉄腕アトムが空を飛んで、月への定期航路があって……ところが実際に21世紀を迎えてみると、子供の頃描いていたものとは全然違っていました。がんの克服をはじめとした、叶うと思っていたすべての夢がなにひとつ実現されていないのです。

20世紀は人間の楽観主義の延長線上、夢と希望に溢れたものしか見ていなかったわけです。

これもだめだった、あれもだめだった、2019年現時点ではそれがわかっただけということですね。

20世紀は人類と科学の進歩に対し、無限の信頼をおいていた。21世紀はそれらに対する失望の時代とも言えます。

ですが、次の時代はこれができる、あれができるがわかる時代になるんじゃないかなと。
ただただ夢が叶うと思っていた20世紀から、できないものが潰されてできるものが見えてくる時代になっていくのではないでしょうか。

諦めるという言葉は、明らかにするという説もあります。断念するということではなく、できること、できないことがわかってくるということでもあるのです。

いつの時代も変化を避けることはできません。その中で、見えない未来に対して勇敢に、一緒に力をあわせて未来を掴み取りにいきましょう。

ともに良い夢を実現させたい。そんな付き合いがしたいですね。

━━ 本日は貴重なお時間を頂き有難うございました。

編集後記

いつからだったかもはや覚えてもいないが、私はいつの間にか、コストや条件でしかモノを選ばない大人になっていたように思う。昔は、例えば好きなゲーム開発者のインタビューを読み漁って、その想いや熱意を見て購入を決めたりといったことをするようなタイプだったはずなのだが。

何に対しても最も合理的な判断をするのは正しいことで、そこに疑う余地はない。
特にオフィスサービスには似たようなものが多いし、コストや条件で選ぶのは何も間違っていない。

だが、それだけの一辺倒ではつまらないのではないか。サービスやものの作り手、創業者の想いのようなものに同調したり共感して対価を支払うのも面白いじゃないか。

葉山社長とのインタビュー音声を必死に書き起こしながら、そんなことを思った。

コストや条件だけを見て選んだMETSオフィスだったが、そこにはもともと創業者の熱い想いや理念があって、自分が知らなかっただけだった。自分だけではない。これまでにMETSオフィスに申し込んだ方全員が知らなかったのだ。どこにも書いていなかったのだから。

インタビュー記事ひとつで契約をバンバン増やせるほど甘いものではないことはよく理解している。だが、雨垂れ石を穿つじゃないけれど、理念に共感したファンを少しずつ作っていけたら、それは後でMETSのコミュニティなどのサービスが出来た時にとてつもなく大きな力になると思う。

この記事がその流れの一端を担えたら、これほど嬉しいことはありません。

最後までお読みいただき有難うございました。
インタビュアー:TK(METSオフィス会員)