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レンタルオフィス「METSオフィス」運営責任者のオバタです。

2016年7月22日にリリースされ爆発的なブームとなっている「ポケモンGO」。
早くもビジネスにうまく利用しているところがあるようで、新しいマーケティングの可能性を感じる今日この頃であります。

今回は「ポケモンGOを集客する方法」について少し考察してみたので、ゲームの仕組みについても触れながらお話していきたいと思います。
(※基本的には実店舗型のビジネスに関するお話となります)

目次

ポケモンGOで集客に成功した実例

既にお読みになった方もいらっしゃるかもしれませんが、

「Pokemon GO」のおかげでピザ屋さんが大繁盛。その理由とは?
(tabi-labo.com/271450/pokemongobringscustomer/)

という記事に詳細が書いてあります。

リンク先を読むのが面倒な方のために簡潔に説明すると、アメリカで先行配信されていたポケモンGOで、ピザ屋のオーナーが課金アイテム(約10ドル)を使って店に合計12体のモンスターを放ち売り上げを75%UPさせたという内容です。

日本円にして1,000円程度のアイテムで売上が75%もアップしたのですから、費用対効果はあらゆる広告と比べても圧倒的と言えるでしょう。

ピザ屋さんはポケモンGOをどう活用したのか

ポケモンGOは現実世界のマップと連動しており、観光名所や公園、さまざまな店舗、駅などに「ポケストップ」と呼ばれる場所が点在しています。

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引用:ポケモンGO公式(www.pokemongo.jp/howto/get/)

ポケストップに寄るとモンスターを捕まえるためのモンスターボールやその他のアイテムが無料で獲得可能で、約5分程度空ければまたアイテムがもらえるようになる仕組みとなっています。

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引用:ポケモンGO公式(www.pokemongo.jp/howto/get/)

そしてこのポケストップは、「ルアーモジュール」というアイテムを使うことでその場所に30分間モンスターをたくさん出現させることができるようになっているのです。

先述したピザ屋さんは、自分の店がポケストップに非常に近い位置にあるか、または店舗自体がたまたまポケストップであったか(どちらなのかは記事に記載なし)という好条件下にあったため、ポケモンGOを集客に最大限活用できたということになります。

ちなみに、一般的なポケストップの有効範囲は半径15メートル前後だと推測されています。(※記事公開時点での公式発表はありません。大きな観光名所等のポケストップは範囲が違う可能性もあります)

ポケストップが近くにないと厳しい!

現実社会のマップとリンクしているポケモンGOにおいて基本的かつ王道と言える集客方法は、この「ポケストップ」を利用した集客になると思います。この集客方法にはどのような条件が必要なのかを考えてみました。

ポケモンGOで人を集めるには、ポケストップにルアーモジュールというポケモンを呼び寄せるアイテムを使う必要があります。

もちろん、使う側もポケストップの有効範囲内に近づかなければなりません。ルアーモジュールを使うとそのポケストップの有効範囲内に近づいた人全員が30分間モンスターが出やすくなるため、集客効果はばつぐんというわけです。

ポケストップの有効範囲は狭いため、店舗の直近にポケストップがなければルアーモジュールの恩恵を受けることが難しくなります。離れたところにあるポケストップにルアーモジュールを使ったとしても店舗の前までお客様が来ない可能性があるからです。

ポケモンGOで集客するためには、集客したい場所自体がポケストップの有効範囲内にあるのかどうかでかなり難易度が変わってくるということですね。

大阪では、ポケストップが大量にある商店街(約660メートル・11箇所)で10~19時限定でルアーモジュール(28,800円分)を使って集客をしたそうです。28,800円で大量のお客様を商店街に呼べたわけですから、すさまじい費用対効果です…

商店街や店舗が密集している地帯であれば、協力することでポケストップからの距離を気にせずに活用することもできそうです。

無いなら作ればいい!と思ったけれど…

ポケストップは申請または削除が可能と公式サイトに記載されていますが、今は申請のみ停止されています。(削除は可能)

現時点ではポケモンGOの運営以外はポケストップを増やすことはできません。厳しい…

消費活動に結びつきづらいビジネスには不向き

ポケモンGOはピザ屋さんのような飲食店にはまさにうってつけですが、レンタルオフィスのようなサービスの場合活用が非常に難しいのではないでしょうか。

ポケモンGOをビジネスに活かす上で重要なのは、ポケモン目的で来た人たちを消費活動に結びつけることです。無理やり売りつけるとかではなく、全く違う目的で来た人をビジネスのお客さんまたは最低でも見込み客にできなければ無意味だということです。

ピザ屋さんであれば、ポケモン目的で来た→モンスター捕まえながらちょっと休憩していこう、食事しながらポケストップでアイテムをもらおう等の消費活動が期待できます。

とあるビルの最上階にレンタルオフィスがあったとしても、ポケモン目的で来た人はビルに入ることすらないでしょう。ポケストップの有効範囲内に入ったらアイテムをもらって移動。レンタルオフィスの存在すら気づくことはないかもしれません…

ポケモンGOのユーザーは、ポケモンを捕まえる、アイテムをもらうといったモチベーションをもとに行動しています。ビジネスへの活用は「消費活動へのリンク」を自然と作り出せるような業種・サービスでなければ厳しいと言わざるを得ないでしょう。

仕様変更で可能性は広がる?

ここまでの条件では、

①集客したい場所がポケストップの有効範囲内にある
②全く違う目的で来た人を消費活動に結びつけやすい業種・サービス
※ともに実店舗型のビジネスである場合

これら2つを満たしていないとポケモンGOは集客に使いづらいという話でした。

現在ポケストップ申請は停止されていますが、この機能が復活すれば①に関しては可能性が出てきます。

②に関してはある程度諦めが必要かもしれませんが、有効範囲をさらに絞れる・任意のモンスターを呼び出せるといったサービスが提供されれば可能性は出てきます。

先述したレンタルオフィスの例で言えば、最上階のレンタルオフィスフロアでしかモンスターが出ない。そこに入らないとモンスターを捕まえることはできないということです。それに加え、任意のレアモンスターをその場所だけに呼び出せる仕組みがあればなお良いですね。(そこまでしてレンタルオフィスにポケモンユーザーを呼ぶ意味はともかくとして)

ここまで書いておいて何ですが、GPSとマップを連動したシステムに有効範囲をさらに絞るような仕組みの追加は現実的ではないと思います。レアモンスター呼出については、企業や地方のイベントでは行われるかもしれませんが一般ユーザーができるようになるかというと…。

②に関しては、やはり実店舗型のビジネスに関しては業種・サービスによっては活用が難しいと考えておいたほうが良いでしょう。

流行ってるからと何にでも絡めるのはNG

ポケモンGOとまるで縁がないお堅いビジネスや客層によっては微妙なビジネスもあると思いますので、考えなしにとりあえずポケモンを絡めるのは絶対にNGです。ブランディングを破壊してまで流行りものを利用する必要はありません。

ポケモンを商売に利用している感が強すぎるとお客様や見込み客層に嫌われる恐れがある点にも注意が必要ですね。

まとめ

最近、とあるゲーム関係のブログに「ポケモンGOは既存のあらゆるソーシャルゲームの敵になりえる」といった内容が書いてあるのを目にしました。

ポケモンGOは起動しっぱなしでプレイするタイプのゲームであるため、人々の「余った時間」を根こそぎ奪っている=他のソーシャルゲームのプレイ時間が激減しているというデータが出ているんだそうです。

そんな中で、ポケモンGOを集客に活かせるのはどんなビジネスなのか…

最も強いのは、ポケモンGOを遊んでいるユーザーの時間を奪わず、むしろ時間を共有できるようなサービス。自然と消費活動にリンクさせることができる飲食店などの実店舗でしょう。大阪の例のように商店街で団結して時間帯のイベントなどを積極的に行うようなケースは最高の活用方法なのではないでしょうか。

無理やりビジネスに絡める必要はありませんが、ポケモンGOのようなタイプのマーケティングは今後形を変えて流行っていくかもしれません。ただのゲームアプリだと切り捨てず、うまく活用できそうな部分に関しては積極的に取り入れていきたいものです。